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Biography次世代に伝えること
三位先生との出会い
 やっとの思いで、ハワイ大学での英会話授業の合間にサガワ先生と出会え、 フラスコ苗を渡すことに成功してほっとしたのも束の間、 先生が「アナタノ、チバダイノ、センセイガ、イマ、キテイルノヨ」とおっしゃった。
 なんのことだろう?と驚いた。どの先生が来られたのだろう?といろんな考えが交錯する。
 意を決してハワイを訪れた時に、同じ大学の先生も来られているというラッキーな偶然が起こっていた。
  「トウナイト、ディナーヲ イッショニ シタライイヨ」
とサガワ先生がおっしゃったので、小生は思わず、「イエッ、サー(Yes, Sir)」と答えた。
 幸運であったと思う。なんの連絡もせず、いや当時は前もって連絡する勇気がなかった。
 当時は父の名前だけが唯一の保証であり、サガワ先生のもとを訪ねるしか方法がなかったのに、 千葉大学の先生が来て下さったおかげで、また別の保証をして頂いたようなものであった。
 ディナーをご一緒させて頂いてわかったことは、三位正洋博士が凱旋帰国の新鋭の助教授になるということと、 堂ヶ島洋ランセンターの内田一仁氏と同期であるということであった。
 現在、千葉大学園芸学部の植物細胞工学研究室の教授である。
 「細胞融合や遺伝子組換えのバイオテクノロジーで『夢の植物』をつくる」といったスローガンを抱え、 我国で最先端をいく実力派の重鎮研究者でもある。16年前のバイオテクノロジーブームにのって三位先生はカナダで博士号を取得後、 帰国された有名な先生だ。その先生の御一家が帰国される途中にハワイ大学のサガワ先生のところへ挨拶にこられていたのだ。

  これで進むべき道が決定した。お仕えさせて頂く先生は、メリクロン技術においてはヨネオ サガワ先生、 ラン科植物の生理・生態などを初め園芸学全般については安藤敏夫先生、 バイテクを利用した最新の育種技術においては三位正洋先生と三巨頭の博士から教えを授かることとなった。
 巷では何かを勉強したいと思っても、思い通りにスムースに行くことはなかなかあり得ないことなのに、 当時の小生の研究環境は奇跡的なことかもしれないと思うほど恵まれた環境であった。
 その後の20〜24才までの月日は、ラン科植物の過去の研究論文を全て読破していくという日々になった。

ラン科植物のクローン増殖
20歳〜36歳の17年の歳月をかけた著書
好きなことをしたいからこそ我慢しなければならないこと
 現在、専門学校などで教鞭をとらせていただいているが、立場が逆になって初めて先生方の気持ちも理解できるものである。
 3校に通っていると毎年数多くの学生たちと巡り会う機会がある。学生それぞれには当然様々な特性があり、 多種多様な学生たちが入学してくる。 しかし熱意のある素直な学生と巡り会う機会はあまり多くない。「植物は好きだけど、勉強は嫌いだ。」とか、 「ガーデニングは好きだけど、植物は何でもいい」とか、「バイオは好きだけど、植物に興味がない」とか、 酷いところになると「毎日ただ眠いだけ」とか、「ただ友と一緒に過ごせたらよい」という学生なども存在する。
 ほとんどがまだ大人になりきっていない学生で、自分の一番したいことが見つかっていないのだ。
 そんななかで、我々にできることは数多くの社会の現場につれ回すことしかない。
 園芸業界の実状を実際に肌で感じてもらい、次世代の業界にどうステップアップしていくかを理解してもらうことが 必要であろうし、社会人とはどうあるべきかという道徳の講義実習が重要であろうかと思う。

 現在、高校生である方々に伝えておきたいことは、「大学の名前だけにこだわって進学するのではなく、 どんな研究をしたいのかをまずはっきり決めて、どこの大学で希望する研究が出来るのかを調べて、 その研究者に師事するために大学を選ぶ」ということである。そのために受験勉強をするのである。
 誰にとっても受験勉強はつまらないものかもしれないが、嫌いな科目を我慢して勉強するところに意義がある。困ったことに直面すると、すぐに逃げてしまう学生を見ていると、つくづく残念な思いを抱いてしまう。 我慢するといったトレーニングがされていないのだ。
 小生の講義に出したレポートも、レポート提出日に欠席して逃げてしまうという学生も少なくない。
専門学校で 専門学校で
専門学校で
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